旧日本軍慰安婦の被害者が日本政府に損害賠償を求めていた裁判で、裁判所が請求金額を全額支払うよう命じる判決を言い渡したことを受けて、外交部は、慰安婦問題について、韓国と日本の政府が、「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の合意を尊重するという立場を示しました。
ソウル高等裁判所は23日、慰安婦の被害者らが日本政府に損害賠償を求めていた裁判で、1審の「却下」の判決を取り消し、請求金額を全額支払うよう命じる判決を言い渡しました。
外交部の当局者は24日、「判決に関する詳細を確認中だ」としたうえで、「2015年の韓日慰安婦合意を両国間の公式な合意として尊重する」という基本的な立場を示しました。
2015年の慰安婦合意は、当時の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と、このとき外務大臣を務めていた現在の岸田総理大臣が、会談後に合意文として発表しました。
合意文では、日本政府は慰安婦問題について責任を痛感し、当時の安倍総理大臣は日本の総理大臣として改めて苦痛を受けた元慰安婦に対して、心からお詫びと反省の気持ちを表明するとしたうえで、日本政府の予算で、すべての元慰安婦の心の傷を癒す措置を取るとしています。
さらに、両国は、この問題で国連などの場での相互批判を控えると明記しました。
韓国外交部による見解の説明に先立って、日本の松野官房長官は24日の定例の会見で、「国際法および日韓両国間の合意に明らかに反し、極めて遺憾だ」とする一方で、「両首脳のリーダーシップの下、日韓関係を積極的に動かしてきた。引き続き、さまざまな面で取り組みを進める。日韓間に存在する諸懸案について適切に管理し、相手方と緊密に意思疎通を図る」と強調しました。
韓日関係の専門家らは、2018年に元徴用工に対して日本企業に損害賠償を命じた判決とは違い、両国関係を著しく冷え込ませることはないとみています。