ユネスコ=国連教育科学文化機関で世界遺産への登録を審議する委員会は、メンバー21か国のうち9か国を改選し、新しいメンバーに韓国が選出されました。
韓国が委員会のメンバーに選出されるのは、これで4回目です。
任期は6年ですが、慣例として4年で交代することになっていて、韓国は、2027年までメンバーとしての役割を務める予定です。
世界遺産委員会は、各国が推薦した世界遺産の候補を審査し、文化遺産、自然遺産、複合遺産への登録の可否などを審議します。
韓国政府は、日本の2件の世界文化遺産登録について、歴史を正しく伝えるためには改善が必要だと指摘しています。
日本の世界文化遺産登録をめぐっては、韓半島出身者の強制労働があった新潟県の「佐渡島の金山」の新規登録が来年の委員会で審議されるほか、2015年に登録された「明治日本の産業革命遺産」の保全状況に対する審査も続いていて、これらの遺産をめぐり、韓国の立場をより積極的に表明できるようになる見通しです。
江戸時代に金鉱として有名だった「佐渡島の金山」は、第2次世界大戦が本格化したあと、銅、鉄、亜鉛など、戦争物資を確保する鉱山として主に活用されました。
この際、韓半島出身の労働者が多数動員されましたが、日本政府は、世界遺産登録の対象期間を16世紀から19世紀半ばまでと限定し、韓半島出身の労働者が働いた期間を外しています。
また、韓半島出身者が強制労働させられた端島炭坑、通称「軍艦島」などを含む「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録された際、日本は、韓国の徴用被害者を含む全体の歴史が理解できるよう工夫すると約束しましたが、これまで実施していないだけでなく、韓半島出身者への差別はなかったと主張しています。