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都会暮らしをやめて地方に行き農業をするという帰農(キィノン)、同じく漁村にいき漁師になるという帰漁(キィオ)、そして田舎の村に帰るという帰村(キィチョン)をする人が増えています。

統計庁と農林畜産食品部が発表した「2021年帰農・帰魚・帰村統計調査」によれば去年、ソウルを抜け出し農村や漁村に移住をした人口は51万5434人で、前年比4.2%増加しました。特に30代以下の帰農・帰村人口は23万5904人でこれは都市を離れて地方に移住した人の45.8%に達しました。

この統計調査によれば2021年の帰農人口は1万4347世帯で、前年比14.9%増加しており、これは歴代最大でした。また帰村人口は36万3397世帯でこれも前年比5.3%増えて歴代最高でした。この場合、帰農というのは地方に引っ越した人の中で農業をしている人を意味し、帰村というのはその中で農業をしていない人を意味します。つまり36万世帯が地方に移住し、その中の1万4千世帯が農業をしているということです。

では全国、どこに移住した人が多いかというと、一番帰農人口が多かったのは慶尚北道の2710世帯で全体の18.9%を占めており、二番目が全羅南道の2564世帯、三番目が忠清南道の1800世帯でした。慶尚北道は面積が一番広い点、全羅南道は農耕地が一番多い点がそれぞれ帰農人口が多い理由だと思われます。

帰農・帰村する人は全年代にいますが、特に30代以下の青年層の増加が目立ちます。 30代以下だけを見てみると、去年23万5904人が地方に移住し、これは帰村人口全体の45.8%を占めます。そして地方に行き農業をはじめた30代以下の若者は1522人でした。やはり歴代最高です。

農林食品部は30代以下の若者層の増加の理由として、農村に対する若者たちの認識の変化と営農定着支援事業のような政府や自治体の支援政策のおかげだと見ています。しかし実際には就職難と不動産価格の高騰が大きな影響を与えたものだと言われています。

実際に帰村人口の34.3%は仕事が無くて帰村を決意したと答えており、27.1%は住宅の購入、あるいは家賃の問題で帰村したと答えています。特に若者層ほどその割合は大きく20代以下の39.1%、30代の34.8%が職業を理由に帰村したとしています。

就職難とコロナの長期化が都会での就職の代わりに、地方に行き農業にチャレンジする気持ちを若者たちに起こさせたようです。日本の映画に「リトル・フォレスト」という映画があります。都会暮らしになじめず生まれ故郷の小さな村に戻ってきた若い女性が 、東北の美しくも厳しい自然に囲まれた自給自足の生活を通じて自らを見つめ直していく姿を描いた映画です。実はこの映画韓国でも上映され、その後、韓国バージョンもリメイクされて2018年に公開され人気を呼びました。

若者たちは映画「リトル・フォレスト」のような生活にあこがれて帰農していくのでしょうか。あの映画の主人公は美しい自然の中で自給自足の生活を送りますが、現実の帰農の世界はそんなにロマンチックではないようです。何よりも移住以前に比べて収入が大きく減っています。

農林食品部の2021年帰農・帰村実態調査によれば帰農世帯の年間平均所得は帰農前には3703万ウォンだったのが、帰農した最初の年には2713万ウォンと1000万ウォン近く減っています。統計によれば帰農後5年が過ぎてようやく、帰農前の所得に近づくようです。また農業所得自体が減っているという事情もあります。2019年には帰農世帯の農業所得は1942万ウォン、農業外所得が1098万ウォンでしたが、2021年には農業所得は 1522万ウォンに減り、農業外所得は1374万ウォンに増えていました。

そのため帰農世帯に「帰農と関連して一番の問題は」という質問をしたところ、「所得」と答えた人が41%に達していました。では農業以外の活動では何をしているのかというと、一般の企業に就職というのが25%で一番多く、以下、自営業、日雇い労働などの順でした。そのため、ただ単純に帰農、帰村を選択するのではなく、より「慎重な帰農」をする人が増えています。何かと言うと専業農家ではなく、兼業農家になるという方法です。

政府や自治体も支援に乗り出しています。帰農をする前に農業。農村体験を行うのです。「農村で暮らしてみる」体験プログラムや農業の職業教育などが行われています。農業食品部の農業政策局長は「今回の帰農・帰村統計調査の結果を詳しく分析して必要な政策を補完していく予定」だと述べています。特に「帰農・帰村を希望する人々が体系的に準備して定着できるように積極的に支援したい」と言っています。

若者たちの帰農・帰村が増えているという現象、都会に絶望して地方に戻るのではなく、新たな希望を求めて地方に移住するのだと信じたいです。それには農業教育よりも、地方の生活環境を整えることの方が大切なのではないでしょうか。

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