北韓がごみや汚物をぶら下げた風船を韓国側に飛ばすなどの挑発行為を行ったことへの対応として、韓国政府は、2018年に南北の軍事境界線付近での敵対行為を禁じた北韓との軍事合意の効力を、すべて停止することを閣議決定しました。
韓国政府は、4日の午前中に開かれた閣議で、2018年の軍事合意の効力をすべて停止することを議決しました。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は同じ日の午後、効力の停止を承認しました。
このあと、北韓への通告をもって、軍事合意の効力が停止されます。
韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理は閣議で、北韓に対し、韓半島の平和と安定を脅かすあらゆる挑発行為を中断するよう、改めて求めました。
今回全面的に効力が停止される軍事合意は、2018年の9月に当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が採択したもので、軍事境界線付近での大音量のスピーカーを使った宣伝放送や軍事訓練などの敵対行為を禁じる内容が盛り込まれています。
軍事合意の効力が停止されれば、こうした宣伝放送や境界線での訓練が可能となります。
ただ、政府は実際に宣伝放送を行うかどうか、北韓の反応をうかがいつつ決めるものとみられます。
一方、大統領室は、北韓が飛ばした風船によって被害を受けた人について、関係する自治体を通して補償する案を検討中だということです。
北韓は、先月28日と今月1日に、5キロから10キロのごみや汚物をぶら下げた風船、およそ1000個を韓国側に飛ばしました。
この風船により、航空機の離着陸が遅延したほか、落下した風船で車のフロントガラスが割れるなどの被害が出ています。