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ピープル

韓食シェフ、トニー・ユ

2016-01-12

ソウルの繁華街、江南(カンナム)地域で、フュージョン韓国料理の店を経営している韓国料理のシェフ、トニー・ユさん。トニーさんは、大学ではグラフィックデザインを専攻し、ブックデザイナーとして働いていました。しかし、料理に対する関心は高まるばかりでした。

ブックデザイナーとして働いていたトニー・ユさんが、料理の道に進んだのには家族の影響が大きかったといいます。山の多い江原道(カンウォンド)で生まれた彼は、料理が上手な祖母と調理師だった父親のおかげで新鮮な食材を使った美味しい料理を食べて育ちました。料理をするのも好きでした。しかし、ブックデザイナーだったトニーさんが調理師になりたいと打ち明けた時、調理師だった父親は反対しました。調理師、特に韓食の調理師がどんなにきつい職業なのか知っていたからです。



韓国料理で勝負する調理師、韓食シェフを目指すことにしたトニー・ユさんは、調理師学校に通う一方、おいしいと評判の店を訪ねて全国を歩きまわります。当然ながら、味のヒケツを教えてくれる店はありませんでした。しかし、トニーさんはあきらめず、何度も店を訪れ、信頼を得ていきました。こうして、全国を歩きまわったトニーさんは、調理法だけではなく、上手な食材の使い方もマスターしていきました。2年間、美味しい店を訪ねて全国を歩きまわったトニー・ユさん。今度は海外に目を向けます。

トニーさんは韓食のレストランにも西洋のようなシステムが必要だと思いました。洗練された西洋レストランのシステムを取り入れながら、自分だけの韓食メニューを作って勝負したいと思ったのです。トニー・ユさんは、日本、アメリカ、オーストラリアへ向かい、ミシュランガイドに掲載されたレストランを訪れました。料理を味わうためではなく、店で働いてみるためでした。幸いなことに、トニーさんの情熱を認めてくれるシェフに出会うことができました。当然ながら、最初から料理に手をつけることはできません。キッチンで一番きつい仕事に回され、一日中、玉ねぎを剥いたり、ハーブの手入れをしたりしていました。



時間が経つうちに、西洋料理の食材についてマスターしたトニー・ユさん。キッチンでの存在感も少しずつ大きくなり、同僚のシェフたちに韓食のメニューを披露することもできました。トニーさんが作った韓国の焼き肉、プルゴギ風味の肉料理やハルサメと野菜を炒めて作る韓国のチャプチェ風のメニューは外国人のシェフやスタッフに気に入られました。韓国を知らない西洋料理のシェフたちは、トニーさんが作ったプルゴギとチャプチェを通して韓国料理と韓国について関心を持ちはじめました。料理は国と国を結ぶもう一つの言語なのです。

トニー・ユさんが5年に及んだ留学を終えて帰国したのは2010年でした。帰国した彼は、韓国料理、韓食で勝負したいという初めの目標に向かって走り始めます。麦とキビ、そして干した白菜とどんぐりを入れた韓国風麦リゾットはトニーさんのレストランでしか味わえないメニューです。また、ヨーロッパの伝統料理で、狩猟で得た肉を調理して食べるジビエ風のメニュー、韓国の野菜で作った西洋風のソースなどもおいしいと評判です。西洋料理の調理法を応用していてもトニーさんの料理には韓国で取れた食材しか使われません。見た目は西洋料理に近いのですが、味は伝統的な韓国の味なのです。

韓国の食材で作った韓国のソウルフードが、韓国人だけではなく、世界の人とコミュニケーションできるなら、世界中どこでも通用する韓国料理、韓食になると思うからです。韓国の食材で、世界に通じる韓食を作ること、それが韓食シェフ、トニー・ユさんの最終目標なのです。

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