ⓒ gettyimagesbank韓国では親族のつながりが濃く、関係性によって呼び方が異なるので、呼称がとてもややこしいものです。そこで今回は、家族・親戚の呼び方を紹介します。
今回は、韓国人のソラくんが日本人のミミちゃんに親戚を紹介する、というシチュエーションです。
1.伯父・伯母、叔父・叔母
ソラ:あそこにいる人が、ぼくの父さんのお兄さん夫婦だよ。
ミミ:じゃあソラくんからしたらおじさんだから…アジョシなのね。
ソラ:いや、親戚にはアジョシって言わないんだよ。父の兄はクナボジ(큰아버지)。その奥さんはクノモニ(큰어머니)。ちなみに、父の弟はチャグナボジ(작은아버지)、その奥さんはチャグノモニ(작은어머니)って呼ぶんだよ。
ミミ:えっと……もうさっそく頭が痛くなってきちゃった。
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はい、さっそくややこしいですね。父(アボジ)のお兄さんである伯父の場合、大きい(クン)アボジという意味の「クナボジ」、その奥さんである伯母は大きい母(
オモニ)という意味の「クノモニ」といいます。そして父の弟の場合は小さい(チャグン)がついてチャグナボジ、チャグノモニとなります。難しいですが、まずはここからスタートです。
2.父方のおば、母方のおば
ミミ:じゃあ、お父さんのお姉さんや妹はなんていうの?
ソラ:それはコモ(고모)っていうんだよ。その旦那さんはコモブ。
ミミ:あ、おばさんの呼び方は一つなのね。
ソラ:うん、ただ、母方の姉妹であるおばさんはイモ(이모)っていうよ。
ミミ:えーっ、またややこしいなあ……
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父方の女きょうだいであるおばは「コモ」です。父のお姉さんはクンコモ、妹はチャグンコモと呼ぶこともありますが、コモとだけ呼んでもOKです。その旦那さんは夫(ブ)の字がついて「コモブ」。一方、母方の姉妹であるおばは「イモ」、その旦那さんは「イモブ」です。
ただ、一般的な呼び方で、たとえばお店の女性従業員などを「アジュモニ」と言わず「イモ」と呼んだりすることもよくあります。アジュモニよりも親しみを込めていうニュアンスになります。このときに父方の「コモ」ではなく母方の「イモ」を使うのは、韓国では情緒的に母方の親族のほうが親密感があるからだそうです。
3.母方のおじ
ミミ:じゃあ、お母さんのお兄さんや弟は? やっぱり、クナボジ、チャグナボジなの?
ソラ:いや、母方はサムチョン(삼촌)。ただ、 母方の親族にはウェ(외)という言葉がつくから、ウェサムチョンって呼ぶのが正しいんだ。
ミミ:えー、もう覚えきれない……!日本の親戚だったら、ぜんぶおじさん、おばさんで済むから楽なのに。
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おじさん全般を意味するサムチョンは、父方にも母方にも使います。でも、クナボジ、チャクナボジは父方のみで、母方には使いません。また、母方の親族には「外」という意味の「ウェ」という字が頭にがつくので、ウェサムチョンと呼びます。ちなみに、祖父(ハラボジ)と祖母(ハルモニ)も、母方の場合はウェハラボジ、ウェハルモニと呼ぶことになります。
父方と母方の親族の呼び方が違うということからも、韓国は根強い父系社会であることがうかがえますね。
ミミちゃんが嘆いたように、日本の感覚からすると韓国の親戚関係はかなり複雑。でも、今日ご紹介したのもほんの一部なんですよ。