韓国政府は、2018年から毎年発行してきた北韓人権報告書を、ことしは発行しないことを検討していることがわかりました。
李在明(イ・ジェミョン)政権発足後、北韓に対して和解のメッセージを示している中、北韓が敏感に反応する人権問題には触れない意図とみられます。
韓国統一部の当局者は12日、記者団に対し、北韓人権報告書の発行について、「さまざまな案を検討している」としながらも、「2024年の発行後、新たに得た証言が多くないことを考慮している」と述べました。
新たに反映する内容が乏しいため、発行しない方向に重きを置いているということです。
統一部によりますと、近年韓国入りしている脱北者は年間200人あまりで、そのほとんどが第三国に長期間滞在してから入国するため、北韓の人権に関する最新の状況について新たに反映できる証言を確保するのは難しいということです。
統一部北韓人権記録センターは、2016年に北韓人権法が制定されたあと、2018年から毎年、脱北者の証言をもとに北韓での人権侵害の実態を記録した北韓人権報告書を発行してきました。
文在寅(ムン・ジェイン)政権では、脱北者の個人情報の漏えいや南北関係などを踏まえ、報告書を「3級秘密」に指定して非公開としました。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後の2023年と去年は、北韓人権報告書を発行し、公開しています。