公共放送の運営体制を大幅に見直す「放送法改正案」が、国会の本会議に上程されました。与党「共に民主党」を中心に野党各党も法案の成立を推進しているなか、最大野党「国民の力」は長時間にわたる演説を続けて採決を阻止する議事進行妨害で対抗しています。
改正案は、KBSの社長候補を国民100人以上が参加する社長推薦委員会が推薦できるようにし、現在11人の理事会を15人に拡大するという内容が骨子となっています。
理事は、国会の交渉団体から6人、視聴者委員会から2人、放送従事者から3人、学界から2人、法曹界から2人と、多様なルートから推薦される仕組みとなっています。
また、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権下で民営化されたYTNや、聯合ニュースが大株主の聯合ニュースTVといったニュース専門チャンネルについても、代表と報道責任者を3か月以内に新たに任命するよう求める附則も盛り込まれています。
これに対し「国民の力」は「言論労組など与党寄りの人物が理事に多数加わる可能性がある」として、政治的な偏りや報道機関の掌握につながると懸念を示しています。
とくに「公共放送だけでなく、ニュース専門チャンネルにまで3か月以内の人事刷新を求める条項は、言論掌握のための拙速な措置だ」と批判しています。
これに対し、「国民の力」を除く野党各党は「公共放送の公正性と独立性を確保するための措置だ」と反論しており、188議席を有する与党系が、「国民の力」の議事進行妨害を終了させられる「在籍議員の5分の3以上」を満たすことから、改正案は5日の本会議で可決するものとみられています。
さらに「共に民主党」は、8月の臨時国会で、MBCの大株主である放送文化振興会に関する改正案や、EBS=韓国教育放送公社法の改正案も順次処理する方針です。