尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が進めた教育改革の目玉のひとつで、来年からの導入が予定されていたAI=人工知能のデジタル教科書をめぐり、法律上「教科書」ではなく「教育資料」として分類することが決まりました。
教育部は4日、AIデジタル教科書を教育資料として分類した小・中等教育法の改正案が国会本会議で可決したと明らかにしました。この法律は、公布の日から適用されます。
今回の改正により、教科書の定義は「書籍または電子書籍」に限られ、AI技術を搭載した学習ソフトウェアは、教科書として認定されないことになります。
AIデジタル教科書が教科書に定められれば、学校での使用が義務付けられますが、教育資料として定められた場合、学校長の裁量しだいで使用するかどうかが決まることになります。
尹錫悦政権はことしの1学期から、小・中・高校の一部の学年と科目を対象にAI教科書を導入する方針を示していましたが、国民世論の激しい反発を受け、各学校の自主的判断に委ねる方向へと舵を切りました。現在、全国の学校におけるAIデジタル教科書の採択率はおよそ30%にとどまっています。
AIデジタル教科書は、AIプログラムが搭載されたタブレット端末などを活用し、一人一人の児童・生徒に適した教育を実現できるというメリットがある一方、「デジタルデバイスへの過度な依存や読解力・思考力の低下が懸念される」という理由から、導入に反対する声も少なくありません。
ソウル教師労働組合のアンケート調査によりますと、教員の90%以上が導入に反対し、97%がAI教科書を「補助教材」と評価しました。