趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は、中国と良好な関係を維持しつつ、中国が国際秩序を揺るがすことがないよう、アメリカや日本と協力するとの立場を示しました。
アメリカの有力紙「ワシントン・ポスト」が現地時間の3日に公開したインタビューで趙長官は、「私たちは、これまで中国が南シナ海と西海で行ってきた一連の行為を注視してきた」としたうえで、「中国の行動が、北東アジアの近隣諸国にとって懸念を引き起こしている」と指摘しました。
中国は、南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶと主張していますが、2016年にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)はこの主張を「国際法違反」と判断しています。しかし中国は、この判断を受け入れず、現在も南シナ海での領有権を主張し続けており、フィリピンやベトナムなど周辺諸国との摩擦が続いています。
また、韓国と中国のEEZ=排他的経済水域が重なる、韓半島西の海、西海(ソヘ)上の暫定水域(PMZ)付近に構造物を無断で設置し、韓国とも対立しています。
趙長官は、「中国の台頭がもたらす影響や挑戦には警戒しているが、良好な関係を維持しつつ、国際法を尊重する中国の姿勢を期待している」と述べました。
また、「関連する懸案をめぐって、アメリカや日本とも協力する」と述べたうえで、アメリカや日本の外相との会談でも、その方針を直接伝えたと明かしました。
趙長官の今回の発言は、安全保障上の懸念を共有する日米との連携を深めつつ、隣国の中国とも安定的な関係も維持したいという、いわゆる「バランス外交」を志向する韓国政府の立場を明確に示したものとして受け止められています。
趙外交部長官は、就任後初の外遊として先月末に日本とアメリカを訪問。先月29日に東京で岩屋毅外務大臣と、31日には、ワシントンでルビオ国務長官など、トランプ政権関係者と会談し、今月3日に帰国しました。
一方、トランプ政権下で再び議論となっている在韓米軍の駐留問題をめぐって、趙長官は、「韓国駐留アメリカ軍は、今まで通り維持される」としたうえで、「ワシントン滞在中に複数のアメリカ上院議員と面会し、駐留規模を縮小する計画がないことを確認した」と述べました。