尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴニ)夫人をめぐる複数の疑惑を捜査している特別検察チームは、尹前大統領の拘束令状の執行を試みましたが、頑なに拒否し続けたことから、完了できませんでした。
特別検察チームは1日午前、「被疑者が前大統領である点を考慮し、自発的に令状の執行に応じるよう促したが、被疑者は拘置所の制服も着用せず、床に横たわった状態で強く拒否した」と明らかにしました。
特別検察チームは、先月29日と30日、2回にわたって出頭を求めしましたが、尹前大統領が体調不良を理由に応じなかったため、裁判所に拘束令状を請求し、31日に裁判所が拘束令状を発付しました。
令状の期限は今月7日までとなっていて、期限内には何度でも執行することができます。
ただ、法律上、拘置所に収容されている収容者を強制的に引きずり出すことができる場合は限られています。関連法によりますと、刑務官は、収容者が逃走し、自身を傷つけ、若しくは他人に危害を加えるおそれがあると判断した場合のみ、物理的手段を使うことができます。
これに先立ち、尹前大統領に対しては、内乱首謀罪を調査した際にも、令状の執行を試みたものの、失敗しています。
しかし、今回の金夫人をめぐる捜査はこれまでとは状況が異なります。内乱首謀罪を捜査した際には、高位公職者犯罪捜査処などの他の捜査機関が取り調べを行ったため、直接取り調べをせずに起訴することができました。
今回は、政治資金法や公職選挙法、収賄容疑など、いずれも尹前大統領が共犯であることを前提としているため、起訴の前に本人に対する取り調べを行う必要があります。
尹前大統領は、検察と裁判所に対して強い不信感を示していて、今後も一切の捜査と裁判に応じない姿勢を示しています。