李在明(イ・ジェミョン)大統領は、作業中の労働者が機械に巻き込まれて死亡する事故が発生したパン工場を訪れ、「同じ事故が繰り返し発生するのは、構造的な問題があるためだ」と指摘しました。
韓国でベーカリーチェーン「パリバゲット」などを運営する大手製パン企業グループ・SPC系列のパン工場では、ことし5月、50代の女性労働者が作業中に機械に巻き込まれて死亡する事故が起きました。このグループの工場で労働者が亡くなったのは、これが3度目です。
25日、SPC系列のパン工場を訪れた李大統領は、自身も工場で少年工として働いた際に起きた事故の影響で左腕に障害が残っている「労災の被害者」であることに言及し、SPC系列のパン工場で同じ事故が繰り返し発生しているのは、「運営システムに構造的な問題があるため」だと強く批判しました。
SPC系列のパン工場をめぐっては、2022年、ソウル郊外の平澤(ピョンテク)市のパン工場で、サンドイッチに入れるソースを混ぜる作業をしていた20代の女性従業員が機械に挟まれ亡くなり、2023年には城南(ソンナム)市のパン工場で50代の女性労働者が作業中に機械に挟まれて死亡するなど、4年間で3回も死亡事故が発生しています。
また、李大統領は「コスト削減のために安全や命を犠牲にするような構造が存在するとしたら、必ず変えなければならない」としたうえで、「職場で命を落とす事故が起きない国をつくるため、実効性のある対策を設けるべきだ」と指示しました。
一方、李大統領は、この日の午後には南部の釜山(プサン)を訪れ、大雨で延期されていたタウンホールミーティングを行います。ミーティングには、SNSで募集した300人の市民が参加し、海洋水産部の釜山移転や北極海路の開拓など、地域活性化に向けた懸案について話し合う計画です。