2023年7月に起きた海兵隊員の殉職事件の捜査妨害疑惑を捜査している特別検察チームが、この事件の中心人物とされる尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の自宅を家宅捜索しました。
特別検察チームは11日午前9時ごろから、尹前大統領の自宅の家宅捜索令状を執行したと明らかにしました。令状には、尹前大統領が「職権乱用による権利行使妨害」の容疑者と記載されています。
海兵隊員の殉職事件の捜査妨害疑惑は、尹前大統領が2023年7月に大統領室会議で、殉職事件で師団長らを業務上過失致死容疑の容疑者とした海兵隊捜査団による調査結果の報告を受け、「こんなことで師団長を処罰すれば、誰が師団長をするのか」と激怒し、事件の警察への引き継ぎを保留させたたほか、調査結果を変更させたとする疑惑です。
特別検察チームが今月2日に捜査を開始してからわずか9日で、捜査妨害疑惑の頂点とされる尹前大統領に対する強制捜査に踏み切った形です。
特別検察チームはまた、当時国家安保室長を務めていた趙太庸(チョ・テヨン)前国家情報院長の自宅など、およそ10か所に対する家宅捜索を行っていると明らかにしました。趙前院長は、大統領室会議に出席していたとされています。
特別検察チームは前日の10日、国防部や国家安保室をはじめ、李鐘燮(イ・ジョンソプ)元国防部長官の自宅などの家宅捜索も行いました。
11日には、会議に出席していた金泰孝(キム・テヒョ)前国家安保室第1次長を召喚し、当時の報告内容や指示、事件に関与した経緯などについて幅広く事情聴取を行っています。
一方、再び拘束された尹前大統領が、12月3日の非常戒厳の宣言に関する捜査を行っている特別検察チームの出頭要請に対し、健康上の理由で出席できないとする理由書を提出していたことが明らかになりました。
特別検察チームは、尹前大統領に対して強制的に連れてくるか、または拘置所での訪問調査など、今後の対応を協議するものとみられます。