北韓が、ロシアに派兵した北韓軍の兵士とみられる写真や、戦死者の遺骨を送還する場面が、北韓の国営メディアを通じて初めて公開されました。
金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は先月29日、平壌(ピョンヤン)を訪れたロシアのリュビモワ文化相らとともに、両国の芸術団による公演を鑑賞しました。
北韓の朝鮮中央テレビが、この日の様子を映像で伝えるなかで、戦死した北韓軍兵士の遺骨を送還する儀式とみられる場面が公開されました。
舞台の背景にある大きな画面に金委員長が平壌に戻った戦死者の遺骨を迎えるような写真が映し出されました。
また、遺骨が納められていると見られる棺に、金委員長が北韓の国旗をかける場面や、悲しげな表情でひざまずいて座っている姿も映されました。
そのほか、北韓軍とロシア兵が一緒に写っている写真や、北韓兵が戦場で使っていたものとみられる血に染まった手帳の写真なども続けて映されました。
北韓は、去年10月にウクライナ戦争に軍を派遣したものの、公式にはこれを認めていませんでしたが、ことし4月に入って初めて派兵を公表しました。
一般市民も視聴する国営メディアで、派兵された北韓軍兵士の姿を公開したのは初めてです。
金委員長とロシア側の出席者たちは、涙を流したり立ち上がって公演を見守ったりしながら、派兵された軍人に対する敬意を示す様子を見せました。
韓国統一部の関係者は、「戦死者を手厚く扱うことで、軍の士気を高めようとする意図があると見られる」としたうえで、「ロシア側に見返りを求めるメッセージでもある」と評価しました。
また、今後の追加派兵に備えた内部向けの宣伝の一環だとする見方もあり、国家情報院は、北韓が7月から8月にかけて、主に工兵や軍の建設要員を中心に、最大6000人の追加派兵を行うとの見通しを示しています。