韓国政府が、「統一部」の名称から「統一」の表現を削除し、名称を変更する方向で検討を進めていることに対し、保守系与党の「国民の力」は、政府が韓国を「敵対国家」と位置づけた北韓を意識しすぎていると批判しました。
鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官候補者は24日、「平和を定着させることが至上命題だ」としたうえで、「平和と安定があってこそ、統一も模索できる。統一部の名称を変更することを積極的に検討する必要がある」と述べました。
鄭氏の発言は、北韓との対話に向け、省庁名から北韓が抵抗感を抱いている「統一」という表現を削除することを求める意見を踏まえたものとみられます。
北韓は2023年末、統一政策を破棄し、憲法で、韓国を「第一の敵対国」と位置づけると表明ています。
今回の発言に対し、国会の外交統一委員会所属で、野党「国民の力」の金建(キム·ゴン)議員は27日、「名称の変更は政府組織法に基づく改訂事項だ」としたうえで、北韓の体制を批判するビラの散布を禁止する条項に続き、またも北韓の指示に従った法律ができることになる」と批判しました。
2020年の6月に脱北者団体が北韓へのビラ散布を行ったあと、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長がこれを批判し、南北関係が悪化したことを受け、当時与党だった「共に民主党」の主導で、同じ年の12月に「南北関係発展法」に北韓へのビラ散布を禁止する条項が追加されました。
また、金委員は、「統一部の名称変更を進めることは、韓国の憲法に明記された自由と民主主義に基づく統一の価値をき損することに他ならない」と指摘しました。