韓国初の原子力発電所である、古里(コリ)原子力発電所1号機が、永久停止の決定から8年を経て、解体されることになりました。解体作業にはおよそ12年かかるとみられていて、韓国で商業用原発が解体されるのは初めてとなります。
韓国原子力安全委員会は26日、廃炉が決まっている釜山の古里原子力発電所1号機の解体を承認したと発表しました。
古里原子力発電所1号機は、1978年に運転を開始した韓国で最も古い商業用原子炉で、老朽化のため2017年に運転停止が決まりました。
原子力安全委員会によりますと、2037年までに12年かけて解体を進める方針で、解体費用はおよそ1兆700億ウォン(およそ1140億円)を見込んでいるということです。
解体作業のプロセスとしては、使用済み核燃料を化学的に処理し、蒸気タービンなど、放射性物質に汚染されていない区域から撤去を始めます。使用済み核燃料の取り出し作業には、作業員の安全を確保するため、ロボットを利用する計画で、ここまで6年かかり、放射性物質に汚染された設備を水中で切断して運搬する作業には、最も高いレベルの技術力を必要とし、4年がかかる見通しです。
また、取り出した縦横20センチメートル、高さ4メートルの円柱状の核燃料1391体を永久に保管するための貯蔵施設を確保することは、最大の難関とされます。
最終ステップとして土壌の浄化作業を行い、年間の被ばく量が0.1ミリシーベルト以下と確認されたら、解体作業は完了となります。
復元された敷地は、産業用の施設として利用する計画です。
韓国で原発の解体作業が行われるのは今回が初めてで、原発の解体経験があるのは、世界でもアメリカやドイツなど、4か国にとどまっています。
現在、世界で永久停止が決まった原発214基のうち、解体が完了したのは全体の11%で、今回の解体作業をきっかけに、今後、500兆ウォンに上る世界の原発解体市場への進出が可能になるものと期待されています。