アメリカによるイランの核施設への攻撃で中東情勢が一段と緊迫する中、韓国政府は金融市場の安定に向けた対応を強化しています。
韓国の金融委員会は23日、金融監督院や韓国取引所などと緊急会議を開き、株式市場の動向や対応策について協議しました。金融委員会は関係機関と連携し、不公正取引への厳正な対応を含め、市場の監視体制を強化する方針です。
韓国では、李在明(イ・ジェミョン)政権への期待感から、韓国総合株価指数=KOSPIは今月、3000を超えるなど、堅調に推移していました。しかし、アメリカの攻撃を受けて、一時46ポイント以上下落する場面もありました。その後は回復し、午前11時の時点で再び3000台を回復しています。
また、為替市場ではウォンがドルに対して下落し、1ドル=1382.5ウォンと、前日よりおよそ17ウォンのウォン安となっています。
一方、イラン議会はアメリカの攻撃への対抗措置として、原油の重要な輸送ルートである「ホルムズ海峡」を封鎖することで合意し、最終的な判断は国家安全保障会議に委ねられることになりました。
イランは、OPEC=石油輸出国機構の加盟国の中で3番目に大きな原油生産国で、世界の原油供給量のおよそ3%を占めています。
こうした中、国際的な原油価格も上昇しています。ニューヨーク原油市場では、原油価格の国際的な指標となるWTIの先物価格が一時、前週末に比べて4%以上上昇し、1バレル=78ドル台半ばを付けました。ロンドン市場の北海ブレント原油の先物も一時5.7%上昇し、1バレル=81.40ドルまで値上がりしました。
このような状況を受け、韓国銀行も緊急の会議を開いて市場への影響を分析しました。韓国銀行は、今後の情勢によってはリスク回避の動きが強まる可能性もあるとして、景気や物価への影響を注視しながら、必要に応じて安定化措置を講じる方針です。