アメリカ上院が発議したインフレ抑制法(IRA)の改正案が、韓国のバッテリー業界に有利な方向で調整されたことがわかりました。従来のインフレ抑制法に大きな変更を加えないということで、韓国のバッテリー企業の不確実性が緩和されたと評価されています。
アメリカ上院は現地時間の16日、世界でも有数の韓国のバッテリー業界に有利なインフレ抑制法の改正案を発表しました。
アメリカのインフレ抑制法は、消費者がEVを購入する際やバッテリーメーカーが税額控除を受けられる条件として、対象となる車を北米で組み立てられたものに限定するとともに、バッテリーの部品に使う重要鉱物は、アメリカまたはアメリカとFTA=自由貿易協定を結ぶ国から一定以上調達することとしていました。
今回の上院での改正案は、バッテリーメーカーに提供される税額控除の優遇措置が、下院が提出した案よりも有利に修正されました。
下院の案では、税額控除の適用期間が現行の2032年から2031年に1年短縮されましたが、今回の上院では元の現行案が維持されました。
また、税額控除を第三者に譲渡できる制度も、下院の案では2027年に終了予定でしたが、上院の案では現行通り2032年まで維持されました。
これで、改正前と同様に25%の税額控除が維持されることになります。
一方、韓国と競合関係にある中国のバッテリー企業を牽制する措置は維持され、中国企業への補助金はなくなる見通しです。
ただ、電気自動車の購入補助金については、法案制定から180日後に一括して廃止する方向に変更されました。
しかし、下院の案でも主な自動車メーカーの優遇措置の期限がことしまでとなっているため、現代(ヒョンデ)・起亜(キア)自動車にとっては、大きな変化はないということです。
今回の改正案は、上院での議論と上下両院の案をまとめる過程を経て最終的に確定する予定です。