韓国政府は、北韓の体制を批判するビラ散布を事前に防ぐため、北韓との主な境界地域に警察の機動隊を配置するとともに、処罰の実効性を高めるための法改正を検討することにしました。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は今月14日、北韓へのビラ散布を行った個人や団体について、法令違反があれば厳しく対処すると強調したうえで、対策を設けるよう指示していました。
統一部は16日の記者会見で、「北韓へのビラ散布に対応するため、関係機関が協議体を構築し、随時または定期的に意思疎通を図る」としたうえで、「北韓の人権問題を訴える韓国の市民団体などに対し、ビラ散布の中断と現行法の遵守を求める」と述べました。
関係機関は今後、現行の航空安全法や災害安全法などに基づいて違法なビラ散布を取り締まる方針で、処罰規定の実効性を高めるために、航空安全法など一部条項の改正や処罰の適用基準の詳細を設ける計画です。
また、事前の取り締まりとして、主な境界地域に警察の機動隊と地元の警察を配置するとともに、自治体や関係機関と協力して対応する方針です。
今回の措置について、政府は、韓半島の平和と境界地域の住民の安全を守るためのものだと強調しました。
2020年に改正された南北関係発展法は、「国民の生命と身体に危害を加えたり、深刻な危険を生じさせてはならない」と定めています。
この法律には、 南北の軍事境界線の周辺でビラ散布を行った場合、未遂でも3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金が科せられるという内容が盛り込まれています。
しかし、憲法裁判所は2023年9月、北韓へのビラ散布を禁じた条項について、「法律制定の目的は正当だが、過剰禁止原則に違反し、表現の自由を過度に制限している」として違憲だと判断しました。