日本の最高裁にあたる大法院の裁判官を増員する内容を盛り込んだ裁判所組織法改正案が、4日、与党主導で国会の法制司法委員会の小委員会で可決されました。
大法院の裁判官の数は現在14人ですが、今後4年間にわたって毎年4人ずつ増やし、最終的に30人にするという内容です。
これは李在明(イ・ジェミョン)大統領が大統領選挙の公約として掲げた政策で、任期初日に与党が法案で後押しした形です。
与党「共に民主党」が国会で171議席を占め、圧倒的多数を占める「与党優勢・野党劣勢」の構図のもと、野党の賛成がなくても単独で法案を処理できるなか、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による拒否権で阻まれていた法案を迅速に処理していく方針です。
一方、5日の本会議では、尹大統領による非常戒厳の宣言をはじめ、金建希(キム・ゴニ)前大統領夫人をめぐる疑惑、そして海兵隊員が殉職した事故について、通常の検察から独立した特別検察官による捜査を可能にするための法案を可決しました。
これらは尹前大統領が再議を要求した、つまり拒否権を行使したことで成立できなかった法案で、「共に民主党」は政権初期にこうした法案を早期に処理する方針です。
また、李大統領の刑事裁判の手続きを停止する内容を盛り込んだ刑事訴訟法改正案など、大統領の法的リスクを低減する法案については、世論の動向を見ながら進める方針です。
一方、小委員会での採決に参加しなかった野党「国民の力」所属の委員らは、大法院の裁判官を増員する法案が可決したことを受け、「露骨な立法独裁だ」として、即時撤回を求めました。
さらに、李大統領については、大統領選挙の過程で一貫して裁判官の増員に関する議論を自制するよう指示したと主張していたにもかかわらず、当選からわずか10時間で発言を覆したと指摘しました。