韓国の中央銀行にあたる韓国銀行は29日、通貨政策を決める金融通貨委員会を開き、政策金利を2.75%から2.5%に0.25ポイント引き下げることを決定しました。
政策金利は、先月、1ドル=1500ウォンに迫るウォン安を懸念し、据え置かれましたが、その後の米中貿易協議の進展を受けて為替は1ドル=1370ウォン台と比較的安定していることから、金融緩和の余地が生まれたと、金融通貨委員会は判断したとみられます。
また、アメリカによる高率の関税措置の影響で輸出にも打撃が及んでいて、韓国経済がことし、0%台の成長にとどまるという懸念が高まっていることも、利下げの背景となりました。
なかでも、消費の冷え込みなどで、ことし1月から3月期のGDP=国内総生産の伸び率が前の四半期に比べてマイナス0.2%となったことが、利下げに踏み切らせたとみられています。
一方、韓国銀行は、ことしの経済成長率の見通しについて、これまでの1.5%から0.8%に0.7ポイント下方修正しました。
これは、アメリカの関税政策や、内需の低迷など、国内外の要因が複合的に働いた結果とみられています。
この30年間、韓国経済が年間1%未満の成長にとどまったのは、アジア通貨危機に見舞われた1998年、世界金融危機に見舞われた2009年、そして、新型コロナウイルスの感染が広がった2020年の3回だけでした。
来年の経済成長率の見通しについても、これまでの1.8%から1.6%に0.2ポイント引き下げました。