来月3日の大統領選挙を前に、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が不正選挙をテーマにしたドキュメンタリー映画を鑑賞したことで、その意図に関心が集まっています。
尹前大統領は21日午前、ソウル市内の映画館で開かれたドキュメンタリー映画「不正選挙、神の作品なのか」の試写会に出席し、映画を鑑賞しました。上映終了後は、特にあいさつなどは行わず、そのまま会場を後にしました。
この映画は、歴史の講師だった全漢吉(チョン・ハンギル)氏と、ジャーナリストの李永敦(イ・ヨンドン)氏が制作に関わったもので、全氏が直接尹前大統領に鑑賞を要請したと伝えられています。
尹前大統領が、内乱罪の公判を除き、公の場に姿を現したのは、罷免以降初めてです。
尹前大統領は、去年12月3日に「非常戒厳」を宣言した理由として、「不正選挙疑惑」を主張していたことから、今回の映画鑑賞に、この疑惑を再燃させる意図があるのではないかという見方も出ています。
これに対し、与党「国民の力」は、尹前大統領が離党していることから「今回の映画鑑賞は、党とは関係のない個人の行動だ」とけん制しました。
また与党候補の金文洙(キム・ムンス)前雇用労働部長官は21日、尹大統領が不正選挙をテーマにした映画を鑑賞したことについて、「不正選挙に対する疑念を完全に払拭するため、最善を尽くす」と述べました。
一方、最大野党「共に民主党」の大統領候補の李在明(イ・ジェミョン)前代表は、「その選挙システムによって当選した本人が、不正選挙だと主張するのは、自己否定ではないか」と批判しました。