来月3日の大統領選挙に出馬した候補者らが、経済分野をテーマに18日に行われた初のテレビ討論会で、激しい攻防を繰り広げました。
革新系の最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前代表は、AI=人工知能など先端産業を基盤に「公正な成長のチャンスをつくる」と述べたのに対し、保守系与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)前雇用労働部長官は、「企業が雇用を創出できるよう規制を全面撤廃する」と強調しました。
保守系の「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)元代表は、中国に対抗するため、科学技術を軸にした実用的な政策で、韓国の未来競争力を高めると訴えました。
各候補は、内需の低迷や少子高齢化、成長率の低下などの危機に直面している韓国経済の打開に向け、AI産業を育成することには一致した立場を示しましたが、原子力発電や再生可能エネルギーといった電力政策と、労働分野においては意見が分かれました。
金文洙前長官は原発の拡大を主張した一方、李在明前代表は再生可能エネルギーへの転換を強調しました。
労働分野では、李在明前代表が労働者のストライキに対する企業側の損害賠償請求を制限する、いわゆる「黄色の封筒法」を支持し、労働権の保護を強調したのに対し、金文洙前長官は「企業活動を萎縮させる恐れがある」として反対しました。
「週休2.5日制」についても、李在明前代表は賛成する立場を示し、労働の柔軟性を高める制度の導入が必要だと述べましたが、金文洙前長官は、「企業の生産性低下につながる」として懸念を表明しました。
深刻な内需不振に苦しむ自営業者や零細業者の支援については、候補者全員が「支援が必要だ」として一致した立場を示しましたが、債務の減免を中心とする対策にとどまり、財源の確保や構造的な改善策については不十分との指摘も出ています。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免を受けて行われる今回の大統領選挙では、次期政権が「政権引き継ぎ委員会」を設ける時間がないまま、発足を迎える見通しです。
そのため、専門家らは、候補者らの政策は、実現可能性と具体性により一層焦点を合わせる必要があると提言しています。
一方、大統領候補らによる2回目のテレビ討論会は23日にKBSで社会分野をテーマに、3回目は27日にMBCで政治分野をテーマに行われる予定です。