来月の大統領選挙に向けて選挙運動が始まったことを受けて、日本の主なメディアが、深刻化する韓国社会の分断を今回の選挙を通じて、乗り越えるための議論が進むことを期待すると提言しました。
朝日新聞と日本経済新聞は、14日付の社説で、韓国の有権者が政治、地域、世代、性別などさまざまな面での対立を癒すビジョンの提示に注目していると指摘しました。
朝日新聞は、今回の選挙を「『非常戒厳』という事態を経て、大統領や民主主義のありようが問われる選挙」と位置づけました。
そのうえで「絶大な権力を持つ大統領が独善に陥らず、政権・与党と野党が熟議を重ね、国民と対話し、長期的視野で知恵を絞る必要がある。そうした政治への転換点にできるかが問われる」としています。
日本経済新聞も、「分断修復に向け国民統合や経済成長、格差是正、雇用創出、福祉政策などで有効な改革を打ち出せるかが中道・無党派層の支持に直結する」としたうえで、「国政と地域の安定のため未来志向の論戦を期待する」と韓国の政界に呼びかけました。
韓国社会は、政治的立場や地域、世代、性別など、さまざまな対立軸で分断の傾向が見られ、これは社会統合や政策の策定において重要な課題となっています。
この2つのメディアはいずれも、今回の選挙が最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前代表と与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)前雇用労働部長官による一騎打ちになる可能性が高いという見方を示しました。
朝日新聞は、「北韓の核問題や米中対立といった共通課題を抱える日韓の連携は重要性を増している」とし、日本経済新聞も、「韓国がぐらつけば地域の安全保障・経済協力も揺さぶられかねない」とし、今回の大統領選が日本にも大きな影響を及ぼすという見解を示しました。