旧日本軍の慰安婦被害者である李玉善(イ・オクソン)さんが11日、97歳で亡くなりました。韓国政府に登録されている慰安婦被害者240人のうち、存命者は6人となりました。
慰安婦被害者の支援施設「ナヌムの家」によりますと、11日午後8時ごろ、京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市内の療養病院に入院していた李さんが亡くなったということです。
釜山(プサン)出身の李さんは、15歳だった1942年から3年間、中国で慰安婦としての生活を強いられました。
日本の敗戦後も中国に留まっていましたが、2000年6月、58年ぶりに帰国し、国籍を回復しました。
その後は、人権運動家として20年以上にわたり慰安婦被害の実態を伝える活動を行いました。
アメリカのブラウン大学で2002年に初めて講演を行って以降、日本、ドイツ、オーストラリアなど世界各地を回り、被害の実情を訴えてきました。
2014年にはアメリカのカリフォルニア州グレンデール市の「平和の少女像」の前で「私たちはまだ戦争の中にいる」と述べ、日本政府に謝罪を求めました。
2021年には日本政府を相手取った損害賠償請求訴訟の1審で勝訴しましたが、日本からの公式な謝罪や賠償を受けることなく亡くなりました。