韓国外交部の趙兌烈(チョ・テヨル)長官は、アメリカのルビオ国務長官との電話会談で、来月に控えた韓国の大統領選挙を踏まえ、関税をめぐる交渉を時間をかけて協議していくことを求めました。
両長官による電話会談は、先月、ベルギーで行われたNATO=北大西洋条約機構の韓日米外相会合以来、1か月ぶりとなります。
趙長官は、ルビオ国務長官との電話会談で、関税交渉をめぐって、お互いにとって互恵的な解決策を探ることを強調しました。ただ、韓国では、来月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が罷免されたことに伴う大統領選挙が控えていることを踏まえ、十分な時間をかけて交渉を進めることを提案しました。
また、韓国がアメリカの同盟国であり、韓米FTA=自由貿易協定の締結国であることを考慮することを求めたのに対し、ルビオ国務長官も積極的に協力する意向を示しました。
これに先立ち、アメリカ側は、トランプ大統領の就任から100日を迎え、経済政策の成果をアピールし、韓国と日本がそれぞれ国内で行われる選挙を前に、アメリカとの交渉を成功させたことを示すため、合意を急いでいるという認識を示しています。
そのため、今回の趙長官の発言は、新政権が発足してから合意をまとめるという立場を確認したものと受け止められています。
さらに、趙長官は、来月3日に行われる大統領選挙の後、韓国とアメリカの首脳間で電話会談の機会を設けることも提案しました。
これに対し、ルビオ国務長官は、「トランプ大統領を含め、アメリカは韓米同盟を重視し、今後も同盟をさらに強化していく」と述べました。
今回、電話会談が行われた背景をめぐっては、韓国で李周浩(イ・ジュホ)社会副総理兼教育部長官が新しく大統領権限代行となったことや、アメリカのウォルツ大統領補佐官が解任されたことを受け、両国にとって緊密なコミュニケーションが必要だという認識が一致したためとみられています。