韓国で来月3日に実施される大統領選挙に向けて、これまで大統領の権限を代行してきた韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理が1日午後、辞任を表明しました。事実上の立候補に向けた動きとみられ、選挙戦の構図に大きな影響を与えるものとみられます。
韓氏は1日、ソウルにある政府庁舎で国民向け談話を発表し、「現在の国家的危機を乗り越えるために自らが果たすべき責任を熟考した結果、総理の職を辞する決断を下した」と述べ、大統領選挙への出馬を事実上、示唆しました。韓氏は、2日にも国会で無所属での立候補を正式に表明する見通しです。
韓氏は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が昨年末に弾劾されて以降、大統領権限を代行し、政権の舵取りを担ってきました。国政経験が豊富で、保守陣営の中でも安定感のある実務型の人物として評価されています。
一方で、一部からは「内乱勢力に同調した」として、出馬に批判的な声もありますが、各種の世論調査で独走状態が続いている革新系の最大野党「共に民主党」の大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)前代表に対抗し得る現実的な候補として一定の期待を集めています。
与党「国民の力」は今月3日までに正式な候補を擁立する方針で、韓氏と「国民の力」との候補一本化をめぐる動きが本格化するものとみられています。保守陣営が結束して李氏に対抗できるかどうかが、今後、選挙戦の行方を左右する鍵となりそうです。