韓国監査院は、文在寅(ムン・ジェイン)政権が不動産価格の高騰を実際の水準より低く見せるため、統計データを改ざんしていたという監査結果を公表しました。
監査院は、今月10日の監査委員会で、2023年9月に中間発表を行った国による統計の作成や利用実態の監査結果を議決したと17日、明らかにしました。
それによりますと、文政権当時、大統領府青瓦台と韓国国土交通部が2018年1月から2021年10月までの間、合わせて102回にわたり、不動産価格の公示などを行う韓国不動産院に対し、住宅価格の変動率を下方修正するよう指示したり、不動産対策の効果があったように見せかけるため、統計データの調整を指示したりしていました。
この際、大統領府と国土交通部は、予算の削減や人事措置に言及し、不動産院に圧力をかけていたということです。
また、大統領府と国土交通部は統計法に違反し、不動産院に対し、住宅に関する統計を事前に提供するよう指示しました。不動産院は、指示を中止するよう12回にわたり要請しましたが、大統領府などは、この要請を拒否したということです。
統計法では、「正当な事由がないかぎり、作成中の統計または作成された統計を公表前に外部に提供、漏えいしてはならない」と定められています。
監査院は、文政権当時の大統領府、国土交通部、不動産院、統計庁の関係者31人に対し、懲戒を求めたり人事資料の通知を行ったと明らかにしました。
監査院は2023年の中間発表当時、当時の大統領府の政策室長など22人に対し、職権濫用、業務妨害、統計法違反などの疑いで検察に捜査を要請していました。
最大野党「共に民主党」は記者会見を開き、「内乱勢力に対する憲法裁判所の罷免にかからわず、前政権に対する弾圧が終わっていない」として、「大勢の公務員や調査員が参加するため、統計の改ざんは不可能だ。このような結論を出した監査院の精神状態が疑わしい」と批判しました。
文在寅政権当時の2020年、市民団体の「経済正義実践市民連合」は、ソウル市内のマンション価格は、直近3年間で52%上昇したと明らかにしました。