アメリカの大手格付け会社「ムーディーズ」は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免が決まったものの、韓国の経済と政治の不確実性が続く可能性が高く、政治の緊張が長期化すれば格付けにもマイナスの影響を与える可能性があると警告しました。
このような内容は、ムーディーズが、憲法裁判所が尹前大統領の弾劾訴追を認容したあとに発刊した報告書で明らかにしたものです。
ムーディーズは報告書で、尹前大統領の罷免によりリーダーシップの空白を埋める道は開かれたものの、その過程が「極めて分裂的」だったとして、これを踏まえると経済・政治的不確実性は解消されない可能性があると指摘しました。
また、「経済活動を阻害し、経済成長に対する政府の対応を遅延させる政治的な緊張状態が長期化すれば、信用に否定的な影響を及ぼすだろう」と予測しています。
さらに、早期に開催される次期大統領選挙については、「内部で亀裂が生じ、圧倒的な有力候補がいない『国民の力』で政治的な内紛が起こる可能性が高い」としているほか、選挙までの期間が短いことから、「各候補の経済政策の明確性が十分でない可能性がある」と指摘しました。
ムーディーズは、韓国が直面している困難として、アメリカの通商政策の変化やインフレ抑制法、半導体のアメリカでの国産化を促進するチップス法などの修正の可能性に言及し、これによって自動車や半導体、バッテリー産業が悪影響を受ける可能性があると分析しました。
ムーディーズは、2015年以降、韓国の格付けを上から3番目の「Aa2」としています。