韓国の海洋水産部は、アメリカ政府が生産工程での人権侵害の疑いで、韓国最大規模の塩田で生産された韓国産の塩製品に輸入禁止措置を取ったことに対し、「現在アメリカに輸出されている塩田の塩製品は、強制労働によるものではない」と主張しました。
アメリカ税関・国境警備局は3日、ホームページで、「強制労働があったとの情報を基に、太平(テピョン)塩田に対する違反商品保留命令(WRO)を発令した」さらに、「効力は直ちに発生し、アメリカに輸入される太平塩田の塩製品は全て押収される」と発表しました。
これに対し韓国海洋水産部は、「産業通商資源部と外交部、雇用労働部などの関係省庁と緊密に協議し、太平塩田の塩製品に対するアメリカの違反商品保留命令解除に向けた措置を速やかに検討していく」としたうえで、「太平塩田をはじめ、関連企業に対し、労働者の人権保護に向けた教育の徹底などを着実に進めていく」と述べました。
太平塩田を巡っては、2021年5月、全羅南道(チョンラナムド)新安(シナン)にある太平塩田の運営者が、7年間労働者の賃金を滞納するなど、違法行為があったことが明らかになりました。このことから、アメリカ政府は、韓国最大規模の太平塩田で生産された塩製品に対し、輸入禁止措置を取りました。
海洋水産部は、アメリカの輸入禁止措置について、「2021年5月に明らかになった、太平塩田の強制労働事件に関し、2022年11月に韓国の公益団体がアメリカ税関・国境警備局(CBP)に違反商品保留命令を求めたため、アメリカ政府が取った措置だ」としたうえで、「その後、海洋水産部は、関係省庁の協議に基づいて改善措置を進めた」と強調しました。
また、海洋水産部は、改善措置として、毎年、塩田の労働者雇用状況を調査し、労働力の削減に向けた業務自動化設備の支援を拡大していると説明しています。
外交部関係者も、「政府は、関連省庁の協議に基づいて、今回の措置の解決に取り組み、アメリカと積極的に話し合っていく方針だ」と述べました。
太平塩田は、韓国で天日塩生産の6%を占めています。