アメリカのトランプ政権が打ち出した関税措置を受けて、韓国政府は、慎重に動く姿勢を示しています。
韓国産業通商資源部は、通商交渉本部長のアメリカ訪問を検討する一方で、競合国の動きやグローバルサプライチェーンの再編状況を綿密に分析しています。
政府関係者は6日、「ベトナムやインドなど、韓国企業が生産拠点を置く国々も高関税の対象となっており、サプライチェーンの見直しは避けられない。政府と業界は現在、対応のタイミングを慎重に見極めている段階だ」と説明しました。
サムスンやLGなど、韓国企業の主な海外生産拠点がある新興国地域は、今回の相互関税措置によって最も大きな影響を受けると見られています。特に、サムスン電子のスマートフォン生産の半分以上を担うベトナムには、最大46%の関税が課される見通しで、影響が懸念されています。
こうした中、政府は生産拠点の一部を韓国国内に戻す案も検討しており、今週中には自動車産業向けの緊急支援策も発表する予定です。
一方、韓米FTA=自由貿易協定については、「実効性が失われつつある」との指摘が出ていますが、韓国政府は「現時点は再交渉の段階ではない」との立場を示しています。
アメリカ通商代表部は最近、トランプ政権に提出した報告書の中で、既存のFTAについて「最新化する余地がある」と言及しており、今後、韓米FTAの見直しに発展する可能性も否定できません。
韓国政府は、他国の交渉の動向を注視しながら、不利な条件で交渉に入らないよう慎重な対応を続ける構えです。