憲法裁判所が、「非常戒厳」を宣言した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾を認め、失職する事になったことを受け、韓国では次期大統領選挙への動きが加速する見通しです。
大統領が罷免されたことで、大統領選挙が60日以内に行われるため、各政党の候補者選びは1か月以内に実施される可能性が高くなりました。
弾劾審判をめぐり、社会の分断が深まり、両陣営の支持層の見極めがつくなか、与野党は、中道層の票をいかに取り込むかが焦点になりそうです。
与党「国民の力」は、党出身の大統領が2度も弾劾されたことに対する収拾をはかることに専念するとみられています。
特に、弾劾審判の過程で尹前大統領の支持層が結集している状況で、中道層の確保を狙い、国民生活の安定を中心とした政策をアピールするとみられています。
すでに、大統領選挙に立候補すると表明した呉世勲(オ・セフン)ソウル市長と洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱(テグ)市長、劉承旼(ユ・スンミン)元国会議員と「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)前代表に加え、高い支持を得ている金文洙(キム・ムンス)雇用労働部長官が出馬するかが注目されます。
最大野党「共に民主党」など、野党は大統領の弾劾で、政権交代の基盤が整ったとみなし、与党「国民の力」に対し、「内乱に同調した勢力」という批判を強めるとみられます。
一方、有力候補とされる李在明(イ・ジェミョン)代表は、内乱の終息と政権交代をかかげ、選挙戦に臨む見通しです。
先月26日、公職選挙法違反の罪に問われていた控訴審で、一審判決を覆して無罪を言い渡されているだけに、選挙にも追い風となる可能性があります。
野党からは、李代表のほか、金東兗(キム・ドンヨン)京畿道(キョンギド)知事と金慶洙(キム・ギョンス)前慶尚南道知事、金富謙(キム·ブギョム)元首相なども出馬するか注目されます。
一方、野党の非李在明系の勢力は、李代表が公職選挙法違反で無罪となったことから、これまで大統領への過度な権力集中を改善するため、大統領の任期短縮などの政策課題を中心に連帯を呼びかけるものとみられます。