韓国の半導体・電子機器大手、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長が、現在の経営環境について「生きるか死ぬかの生存の問題だ」と強調し、役員らに「生死をかけた覚悟で危機に対処すべきだ」と指示しました。
財界関係者によりますと、サムスンは先月から全役員を対象にセミナーを開催し、組織としての結束を強め、危機を乗り越える姿勢を持つよう求めているということです。
このセミナーで、李会長は映像メッセージを通じて、「サムスンがサムスンらしい底力を失った」と述べ、「死ぬ覚悟で危機に対処しなければならない」と訴えました。
また、「サムスンは生きるか死ぬかという生存の問題に直面している」とし、「重要なのは危機そのものではなく、危機にどう向き合うかという姿勢だ」と指摘しました。
こうした発言の背景には、去年、サムスン電子のメモリ半導体、スマートフォン、テレビ、ディスプレイといった主力事業のグローバル市場シェアがすべて低下したことへの強い危機感があるとみられます。
サムスン電子は、スマートフォンとテレビの世界市場でのシェアは、去年も1位を維持したものの、シェアそのものは前年に比べて低下しています。
また、主力のメモリー半導体部門では、一番最近の業績にあたる、去年10月から12月期の営業利益が2兆9000億ウォンとなり、市場の予想を大きく下回っています。
サムスンは、今年2月から4月にかけて、全世界の役員を集めた役員セミナーを実施しています。
このセミナーは2009年から2016年まで毎年行われていましたが、2017年に朴槿恵(パク・クネ)前大統領などへの贈賄罪に問われた事件の影響で中断されました。しかし、現在の経営危機を受け、9年ぶりに復活させ、組織の立て直しを図っています。