アメリカ政府は、ことし1月初めに韓国を「センシティブ国」に指定していたことがわかりました。
アメリカの核政策を担うエネルギー省は、国の安全保障や核拡散防止、地域の不安定性などの理由で特別な考慮が必要な国を「センシティブ国」に指定していて、現在、中国、ロシア、シリア、北韓などのテロ支援国家もこれに分類されています。
アメリカの同盟、韓国がセンシティブ国に指定されたのは、初めてで、非常に異例なこととされています。
エネルギー省の報道官は、現地時間の14日、アメリカの政府系メディア、VOA=ボイス・オブ・アメリカの書面でのインタビューの中で、先のバイデン政権がことし1月初め、韓国をセンシティブ国の中で、最も低いレベルの「その他の指定国」に追加したと明らかにしました。
当時は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣言から1か月後と、国内の政局が極めて不安定だった時期で、バイデン前大統領の任期末にとられた措置だったということです。
この措置は4月15日から発効する予定で、アメリカ・エネルギー省は、関連する行政上の手続きを踏んでいるということです。
この措置が発行すれば、韓国は、外交的な影響はもちろん、アメリカとの技術協力にも支障をきたすものとみられています。
「センシティブ国」に指定されれば、アメリカのエネルギー関連施設などを訪問する際は、事前に許可を取らなくてはならないほか、原子力やAI=人工知能などの最先端分野でアメリカとの協力が悪影響を受ける恐れがあります。
いまのところ、アメリカ・エネルギー省は、韓国がセンシティブ国に含まれても、両国間の科学技術の協力などに対する制限はないという立場を示しています。
アメリカが今回、韓国をセンシティブ国に含めた詳しい理由は明らかになっていませんが、一部では、韓国の保守派を中心に「核武装論」が浮上していたことが背景にあるのではないかという見方が出ています。