「非常戒厳」を宣言した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判の最終弁論が25日に行われます。去年12月14日に弾劾案が国会で可決され、憲法裁判所に弾劾訴追の議決書が送付されてから74日目での最終弁論となり、尹大統領がどのようなメッセージを発するのか、注目されています。
最終弁論では証人尋問は行われず、国会側と尹大統領側がそれぞれ2時間ずつ総合弁論を行った後、国会弾劾訴追委員会の鄭清来(チョン・チョンレ)委員長と尹大統領本人が最終意見を陳述する予定です。当事者の尹大統領の陳述には時間制限が設けられません。
これまで、非常戒厳宣言の要件や手続きの適法性、国会封鎖や政治家・法曹関係者の逮捕指示の違憲・違法性をめぐり、国会側と尹大統領側の間で激しい攻防が続いてきました。
最終弁論でも、国会側は、非常戒厳宣言が憲法上の要件や手続きを満たしておらず、憲法や法律に違反していると主張し、国会や中央選挙管理委員会など憲法で定められた機関に軍を投入し、機能を停止させようとした行為は重大な違反にあたるとして、大統領の罷免が必要だと改めて訴えるものとみられます。
一方、尹大統領側は、非常戒厳の宣言は憲法上の大統領の権限であり、国会で多数を占める野党が政府高官の弾劾訴追を相次いで行うなど国家非常事態に準じる状況だったため、適法であると主張し、「戒厳は警告的・象徴的なもので、短期間で終了し、実際の被害もなかった」として、弾劾訴追は棄却されるべきとの立場を示す見通しです。
さらに、尹大統領側は最終陳述で、大統領の任期短縮を含む憲法改正を提案する可能性も検討しているとされています。大統領側の弁護人の一人は、「罷免という不名誉な形で退陣するよりも、まず棄却決定を受けて職務に復帰することが急務だ」として、このように述べました。
また、尹大統領は最終陳述の内容を拘置所内で自ら作成しているとされ、非常戒厳宣言による社会的混乱について国民に謝罪するメッセージや、棄却決定を想定して今後の国政運営方針が含まれる可能性もあるとみられています。
弁論が終わった後、憲法裁判所の裁判官8人が評議を行い、3月中旬ごろに判決が下される見通しです。