韓国政府は、中国から輸入される鉄鋼製品の厚板に対し、最大38%のアンチダンピング関税を暫定的に課す方針を示しました。
中国の景気低迷によって需要が減っている中国産の鉄鋼が、4年前から韓国に流れ込んだ結果、2021年には30万トン規模だった輸入量が、去年は110万トンを超え、わずか3年で3倍以上増加しました。価格は1トン当たり70万ウォン台となっていて、韓国産よりおよそ20万ウォン安い価格です。
さらに問題となっているのは、中国国内での販売価格よりも輸出価格が安くなっていることです。
このような状況を受け、去年7月、韓国鉄鋼大手の現代(ヒョンデ)製鉄が韓国産業通商資源部の貿易委員会にアンチダンピングで提訴し、貿易委員会は中国産の厚板に最大38%のアンチダンピング関税を暫定的に課す方針を示しました。
中国から輸入される安価な鉄鋼に加え、アメリカのトランプ政権による25%の追加関税措置に悩まされている韓国の鉄鋼業界は、今回の対応を歓迎している模様です。
ただ、鉄鋼をはじめ、貿易業界からは、中国との貿易摩擦につながる恐れがるとの懸念も出ています。
また、中国産への依存度が高まっている韓国の造船・建設業界からはコスト上昇を心配する声が出ています。韓国の大手造船会社で使われている中国産厚板の割合は全体の20%程度となっていて、中小規模の造船会社では、その割合が50%を超えるものとみられています。
今回の決定によって、各産業分野の命運が分かれたなか、韓国政府は近く、中国と日本から輸入される鉄鋼製品の熱延鋼板に対するアンチダンピング調査に乗り出す計画です。