韓国で「国民的詩人」として愛される尹東柱(ユン・ドンジュ)の没後80年を記念し、在学していた同志社大学が16日、名誉博士号を授与しました。
同志社大学は去年12月、学長主催の会議で、尹東柱へ名誉博士号を授与することを決めました。1875年の開学以来、死後に博士号を授与するのは初めてのことです。
大学関係者は、「在学中に逮捕され、その後獄死した尹東柱を守ることができなかった自責の念を込めた特別な決定」と説明しました。
授与式には、遺族を代表して、尹東柱の甥の尹仁石(ユン・インソク)成均館(ソンギュングァン)大学名誉教授が出席しました。
尹仁石教授は、授与式出席前のインタビューで「1995年に同志社大学に詩碑が立てられてから30年が経ち、日本でも故人の影響が大きくなった点を認めてくれたのだと思う」と語っていました。
同志社大学のキャンパス内に建てられた詩碑の前では、追悼式も開かれたということです。
授与式に参加した、陳昌洙(チン・チャンス)大阪駐在韓国総領事は、「韓日国交正常化60周年という意義深い年に詩人・尹東柱の精神を振り返り、韓日の友好のためにさらに努力していく」と語りました。
授与式や追悼式には、韓日議員連盟会長の朱豪英(チュ・ホヨン)国会副議長など、超党派の議員らも参加しました。
尹東柱は1942年に日本に渡り、東京の立教大学に留学後、同志社大学に編入しましたが、ハングルで詩をつくったとして治安維持法違反の疑いで逮捕されました。1944年に懲役2年の刑が確定し、1945年2月16日に福岡刑務所で28歳の若さで亡くなりました。
日本では、戦後を代表する詩人、茨木のり子が尹東柱の詩を引用して書いたエッセイが教科書に載り、尹東柱の認知度が高まるきっかけとなりました。