北韓が、去年10月に韓国の無人機が平壌(ピョンヤン)の上空に侵入したと主張し、国連の専門機関、国際民間航空機関(ICAO)に調査を要請したことについて、韓国外交部は、「北韓が明確な根拠も示さず、国際機関を政治的に利用しようとしていることに反対する」という立場を表明しました。
外交部の当局者は11日、記者団に対して、「北韓は、国際ルールに反し、韓国や国際社会の民間航空の安全を深刻に脅かすGPS妨害電波の発信から止めるべきだ」と指摘したうえで、「明確な根拠も示さず、国際民間航空機関を政治的に利用しようとしていることに反対する」としました。
政府の消息筋によりますと、北韓は最近、国際民間航空機関に対して、去年10月に韓国の無人機が平壌の上空に侵入したと主張し、韓国政府に対する調査を行うよう要請したということです。
北韓は、韓国が無人機を使って北韓の体制を批判するビラを散布したと主張しています。
これについて韓国国防部はこれまで、事実関係の確認に応じていません。
国際民間航空機関は、国際民間航空条約のシカゴ条約にもとづいて設立された国連の専門機関で、韓国と北韓はいずれも加盟国です。
この機関の規定や慣例上、加盟国が提起したいかなる問題についても議論を行うとされています。
韓国政府は2022年に北韓が韓国に無人機を侵入させたとき、この機関に問題提起することを検討しましたが、国際法的・外交的な面を総合的に考慮し、問題提起しないことを決めています。