ペルシャ湾で先月、環境汚染を理由にイランに抑留された韓国船籍の石油タンカーの乗組員が、船長を除き解放されることになりました。
外交部は2日、崔鍾建(チェ・ジョンゴン)第1次官がイラン外務省のアラグチ次官と電話で協議した際に、イラン側が船長を除く韓国人4人など19人を解放すると伝えてきたと明らかにしました。
ただ、イラン側の司法手続きがまだ終わっていないため、韓国人の船長と韓国籍の石油タンカー「韓国ケミ号」は現地に残るということです。
崔第1次官は今回の決定を歓迎したうえで、船長も解放されるよう、最善を尽くすことをイラン側に求め、アラグチ次官は、司法手続きが進められる間、現地の領事館が船長を積極的に支援できるよう協力すると約束するとしました。
外交部によりますと、両次官は、今回の電話での協議が両国の信頼関係を回復する重要な第一歩になったとしたうえで、韓国国内に凍結されているイランの資金の問題を解決し、伝統的な友好関係を回復することで一致したということです。
外交部は今後、解放される乗組員の帰国に向けた協議を船舶会社と進める一方で、船長と船舶の抑留が解除されるまで、イラン側と引き続き交渉する方針です。
ただ、イランに抑留された船舶の管理会社によりますと、韓国ケミ号を運航するためには13人の乗組員が必要であるため、今後船舶の運航が認められ、イラン側が主張する海洋汚染と関連した調査を行うためにも、乗組員が直ちに本国に帰国するのは難しいということで、実質的な解放までは時間がかかるものとみられます。
先月4日、イランの革命防衛隊によって拿捕されれたこのタンカーには、船長など韓国人乗組員5人を含め、ミャンマー人11人、インドネシア人2人、ベトナム人2人の合わせて20人が乗り組んでいました。
イラン側はこの船舶が海洋汚染を引き起こしているとして抑留しましたが、アメリカの対イラン制裁によって韓国の銀行に開設されたイラン口座が凍結されたことが背景にあるとの分析が出ています。