文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、韓国時間の25日未明、アメリカのニューヨークで開かれている国連総会の一般討論演説で、韓国の大統領としては初めて3年連続で演説し、韓国と北韓の間のDMZ=非武装地帯を国際的な平和地帯にすることを提案しました。
今回の演説は、北韓の非核化をめぐる米朝間の実務交渉がまじかに迫った中で行われたため、北韓との関係に多くの時間が割かれました。
演説で文大統領は、「国連とすべての国連加盟国に対して、韓国と北韓の間のDMZを国際的な平和地帯にすることを提案したい」と述べました。
具体的には、「南北の軍事境界線上にある板門店(パンムンジョム)と北韓の開城(ケソン)を結ぶ地域を平和協力地区に指定し、南北と国際社会がともに韓半島に平和を定着させるための空間にする一方、DMZ内に南北にある国連機構を移転することができれば、DMZは国際的な平和地帯になるだろう」と述べました。また、DMZのユネスコ世界遺産への登録を目指す考えも明らかにしました。
DMZを平和地帯にするこうした構想は、去年4月の南北首脳会談で文大統領と金正恩国務委員長が合意した「板門店宣言」にも盛り込まれています。
文大統領が南北が既に合意しているこの構想を、国際社会に向けて提案したのは、この構想の実現には、南北の意志だけでは限界があるため、国際社会の協力を得たいという判断がその背景にあるものとみられます。
一方、文大統領は、「東アジアは侵略と植民地支配の痛みを乗り越えてきた。過去に対する真摯な反省の上に自由で公正な貿易の価値を守るとき、われわれはさらに発展できる」と述べました。
「過去に対する反省」と「公正な貿易の価値」を強調したことから、いわゆる「徴用工問題」や輸出管理をめぐり関係が悪化している日本に対する事実上のメッセージとして受け止められています。
ただ、文大統領は、日本に対する直接的な批判を避けた上に、「韓国は、隣国をパートナーと考えてともに協力する」とも強調し、発言のトーンを抑えました。