2回目の米朝首脳会談が物別れに終わったあと、米朝関係が膠着状態にあるなか、アメリカのトランプ大統領は、北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長からの親書を受けとったことを明らかにし、米朝対話に再び突破口が開かれるかに注目が集まっています。
トランプ大統領は現地時間の11日、ホワイトハウスで記者団に対し、前日の10日、金委員長から親書を受け取ったことを明らかにし、「美しく、非常にプライベートで温かい手紙だった」と話しました。
トランプ大統領は「とても前向きなことが起きると思う」と付け加えましたが、親書の詳しい内容や、どのような経路で入手したかについては、言及しませんでした。
去年シンガポールで開かれた初の米朝首脳会談から1周年となるのを前に送られてきた金委員長の親書には、両首脳がシンガポールで発表した共同声明についてあらためて言及し、これまでと同様、トップダウン方式のアプローチを通じて、問題を解決していくことを言及する内容が含まれているとみられます。
ことし2月ハノイでの2回目の米朝首脳会談が物別れに終わってから、北韓は国営メディアを通じて、アメリカが北韓へのアプローチの方法を変えることを今年末まで待つと表明していますが、親書には、膠着状態にある米朝関係に新たな突破口を見い出すための比較的柔軟な姿勢が示されている可能性もあります。
トランプ大統領が、金委員長の親書に対して前向きな反応を示したことから、膠着状態にある米朝対話の再開にも青信号が灯ったとする解釈もあります。
ただ、トランプ大統領は、3回目の米朝首脳会談を開催する可能性を聞かれたのに対し、「開催する可能性はある。ただ、今すぐではない」と述べ、首脳会談に先立って実務協議が行われるべきだという考えを示唆しました。
一方、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の異母兄で暗殺された 金正男(キム・ジョンナム)氏 について、アメリカのCIA=中央情報局の情報提供者であったとの報道について、トランプ大統領は「金正男氏に関するCIAの情報を確認した」とし、「任期中に、そのようなことが起こらないようにする」と話しました。
トランプ大統領のこの発言は、北韓の体制を揺るがしかねないCIAによるスパイ活動は今後行わないことを約束した、という見方もあります。こうした発言が金委員長の体制を保障するものと受け止められる可能性があり、米朝対話の再開に前向きに作用するとの見方もあります。