アメリカ財務省は28日、韓国や日本、中国など9か国を通貨政策の「監視対象」に指定しました。
「監視対象」は、自国通貨を不当に安く誘導する「為替操作国」より監視はゆるいものの、自国通貨を輸出に有利な通貨安に導くことをけん制し、通貨当局の動向を注視する必要がある国であることを意味します。
アメリカ財務省は、対米貿易黒字が年200億ドルを超えるか、経常黒字がGDP=国内総生産の3%を超える、あるいは一方的な為替介入による外貨獲得がGDPの2%を超える、という3つの条件で為替操作国に指定するかどうかを判断してきました。
これまでは、3つの条件をすべて満たすと為替操作国に、2つの条件に該当したり、対米貿易黒字が大きい国の場合は条件に関係なく監視対象国に指定されました。韓国は2016年から監視対象に含まれてきました。
韓国は去年の対米貿易黒字がGDPの4.7%で、3条件のうちの1つに該当します。アメリカ財務省は、「韓国政府の通貨政策の透明性確保に向けた努力を前向きに評価する」としたうえで、現状が維持されれば、次の報告書では監視対象から除外されるだろう」と説明しています。
一方、韓国の対米貿易黒字は、化学製品や石油製品などのアメリカからの輸入の拡大で、去年180億ドルまで落ち込みました。韓国の対米貿易黒字が200億ドルを割ったのは2013年以来です。
企画財政部の関係者は、「監視対象から外されれば、アメリカの通貨政策への監視から逃れることができる」と説明しています。
アメリカ財務省は、 主要な貿易相手の通貨政策を分析した調査結果を 外国為替報告書として半年ごとにまとめ、議会に提出しています。
今回の報告書では、インドやスイスが監視対象から外されましたが、マレーシア、シンガポール、ベトナム、アイルランド、イタリアの5か国が新たに加えられ、前回の6か国から9か国に増えました。
また、分析対象とする貿易相手国・地域は、これまでの12から21に増えました。為替操作国に認定された国はありませんでした。