今月14日に韓中首脳会談を控えている文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、アメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード」の韓国配備をめぐる韓中間の意見の隔たりについて、「互いに相手の立場になって考え、一気に解決しない問題については時間をかけて解決していく知恵が必要だ」と述べました。
文大統領は今月8日、大統領府青瓦台で中国国営のCCTVとインタビューを行い、サードの韓国配備をめぐる問題について、韓国と中国は同じ立場に立っているとしたうえで、「 互いに相手の立場になって考え、一気に解決しない問題については時間をかけて解決していく知恵が必要だ」と述べました。
このインタビューは、11日の夜、放送されました。
インタビューで文大統領は、韓国政府が中国との関係改善のため言及していた「サードの追加配備を検討しない」「アメリカのミサイル防衛システムに参加しない」「韓日米3か国の安保協力が軍事同盟に発展することはない」という3つの原則については、明言は避けながらも、中国の要求が受け入れられたと受け止められるよう説明しました。
また、文大統領は、「今後サードが北韓の核やミサイルの防御の目的以外に、中国の安全保障上の利益を損ねることがないよう、韓国は格別に留意するる。この点では、アメリカからも数回にわたって確認をとっている」と明らかにしました。
さらに、北韓の核問題については、「北韓が、核さえあれば安全保障が確保できるという認識を変え、非核化の道に進むことが重要だ」と述べました。
文大統領は今月13日から16日まで中国を国賓として訪れ、14日、首脳会談を行う予定です。
しかし、両国政府は、サードをめぐる意見の隔たりが公の場で表れないよう、今回の首脳会談では共同声明の採択や共同の記者会見を行わないことにし、実質的な協力を強調する報道声明をそれぞれ発表することにしています。
両国関係は、前の政権でサードの配備を決定したことで、最悪の状態にまで冷え込みましたが、今回の首脳会談で、両国関係が改善に向かっていることが示されると期待されていて、意見の隔たりはあっても、必要な協力は進めるとする新たな関係の設定がなされるとみられます。