政府が進める医学部の定員拡大に反発し、研修医らが集団で退職届を提出し、医療現場を離れているなか、大学病院の一部の教授らが30日、政府への抗議として集団で休診しました。
教授らによりますと、休診となるのは外来診療と手術で、2か月以上、研修医らのストライキによる穴を埋めてきたため、疲労が蓄積したことが理由だということです。
30日に休診したのは、ソウル大学病院とセブランス病院、高麗(コリョ)大学医療院、それに慶尚(キョンサン)国立大学病院のあわせて4つの大学病院に所属する一部の教授です。
ソウルアサン病院とソウル聖母病院は、来月3日から毎週金曜日に休診する方針だとしています。
ただし、救急患者や重症患者、入院患者に対する診療は引き続き行うということです。
この4つの大学病院では、休診する方針を決めているものの、実際に休むかどうかはそれぞれの医師の判断に委ねられているため、どの程度の医師が集団で休診しているか、正確な集計はとれていません。
これに先立って、今月26日、全国20あまりの医学部の教授らでつくる非常対策委員会は、「週1回の休診」を行うと決めています。
政府は、医学部のある全国40の大学に対して、来年度の医学部の定員を今月30日までに提出するよう要請しました。
定員の枠は、一旦確定すれば、基本的に変更ができないため、確定する直前に、政府への抗議を強める意味で教授らが集団で休診しているとみられます。
政府は、軍隊に務める医師などを一般の病院に派遣し、医療の空白を最小限に抑える方針です。
一方、医師協会は、これまでも医学部の増員に強く反対していますが、協会の次期会長に選任されている強硬派のイム・ヒョンテク氏が率いる新たな執行部が来月1日に発足する予定で、政府と医療界の対立がさらに激化するのではないかという懸念が出ています。