韓国のネット通販最大手、クーパンで起きた大規模な個人情報の流出をめぐって、アメリカの投資家らは、韓国政府の調査や対応によって損害を受けたとして法的手続きに乗り出し、事態が国際的な通商紛争に発展する兆しを見せています。
クーパンは事業の大半を韓国で展開していますが、韓国法人のすべての株式を、アメリカに上場している持株会社「クーパンInc」が保有していて、実質的にはアメリカ企業です。
韓国法務部は22日、クーパンの株主であるアメリカの投資会社、「グリーンオークス」と「アルティメーター」が、韓米間のFTA=自由貿易協定に基づき、韓国政府を相手取った国際投資紛争の仲裁に向けた仲裁意向書を提出したと明らかにしました。
仲裁意向書は、仲裁を提起する意思を示す書面で、提出から90日が経過すると、正式に仲裁を申し立てることができます。
韓国のクーパンでは去年11月、およそ3300万人分の顧客の個人情報が流出しました。韓国政府と国会は、事態が重大であるにも関わらず、クーパンが調査に十分協力していないとして、広範な調査に乗り出しました。
両社は、個人情報流出事故のあと、クーパンに対する韓国政府の多方面からの圧力が韓米FTAに違反し、その影響で株価が下落して、数十億ドル規模の損害が生じたと主張しているということです。クーパンの株価は、この6か月間で34.24%下落し、現在は52週最安値となる19.02ドル付近で取り引きされています。
また、両社は、情報流出との関連性が大きくないとみられる労働環境や関税分野に対してまで韓国の政府レベルの調査が行われた点について、「差別的な対応だ」として、アメリカ通商代表部にも申し立てを行い、韓国政府に対する調査や通商上の保護措置を求めました。
一方、クーパンを含むアメリカの経済団体や議会の一部からも、「韓国政府がアメリカの企業であるクーパンを標的に不当に扱っている」という批判も出ていました。クーパンは、この問題をめぐり、アメリカ政府や議会に対して積極的にロビー活動を行ってきたとされています。