北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は2023年末に南北関係を「敵対的な2国間関係」と宣言しましたが、反米・反韓感情を植え付ける施設に、「韓国は第1の敵対国だ」とする掲示物を設置していたことがわかりました。
朝鮮中央通信は19日、14歳から30歳までの若者が義務で加入する民間団体「社会主義愛国青年同盟」の創立80周年記念行事の参加者が、平壌(ピョンヤン)市内の「中央階級教養館」を見学したとして、軍人たちが講師の説明を聞く写真を伝えました。
公開された写真では、館内の2つの壁一面に、韓国に対する敵対感情をあおる内容がびっしりと掲示されていて、上部には「韓国は第1の敵対国、不変の主敵」「わが国の体制転覆と政権崩壊を狙う一貫した対決の狂気」といった文言が大きく掲げられていました。
また、「大韓民国の領土は韓半島とその付属島しょとする」と定めた韓国の憲法3条の条文を掲示している様子も確認されました。北韓は、韓国が北韓に対して敵対路線を維持し、吸収統一を狙っていると主張する根拠として、この条文を利用しているとみられます。
金委員長は去年9月、最高人民会議での演説で、1948年7月に公布された韓国の憲法に、こうした条項が盛り込まれたことについて、「わが国にとって最も敵対的な性格を文書化したものだ」と非難しました。
さらに金委員長は、2024年1月の最高人民会議の演説で、「韓国を徹底して第1の敵対国であり、不変の主敵とみなすよう、教育と教養事業を強化するという内容を憲法の条文に明記すべきだ」とも述べています。
中央階級教養館は、平壌の普通江(ポトンガン)沿いに2016年に開館した北韓の階級教養拠点の1つで、韓国やアメリカ、日本など、いわゆる敵対勢力との「対決意識」を高める資料を展示し、住民に思想教育を行う施設です。
北韓当局がこうした施設に「韓国は第1の敵対国」とする掲示物を設け、若い世代に見学させているのは、住民の間に「敵対的な2国間関係」という認識を本格的に定着させようとする動きと受け止められます。