アメリカのトランプ大統領が、海軍の戦力強化に向けた、いわゆる「黄金艦隊」構想を打ち出したなか、韓国の防衛・造船大手、ハンファグループが、フィラデルフィアにある自社の造船所を拠点に、アメリカ海軍の原子力潜水艦の共同生産に向けた準備を進めていると明らかにしました。
トランプ大統領は、現地時間の22日、アメリカ国内の造船業を再び強化する政策方針を示し、その過程で、ハンファが買収したフィラデルフィア造船所を協力拠点として挙げました。
同じ日、ハンファ側は現地で開かれたメディア向けの説明会で、この造船所において人員の拡充や設備投資、生産効率の改善を進めているほか、韓国の造船所で培った運営ノウハウや生産方式をアメリカ現地に導入していると説明しました。
また、潜水艦を構成する各部位や主要構造物を製造する能力も、段階的に強化していると明らかにしました。
こうした動きの背景には、アメリカ海軍の潜水艦生産能力が不足していることがあります。
アメリカは今後、原子力潜水艦を増やす計画ですが、現在の国内造船所の生産能力がそれに追いついていないのが実情です。
さらに、アメリカ、イギリス、オーストラリアが参加する安全保障協力体制に基づき、オーストラリア向けに供給する潜水艦の建造も重なり、生産負担が増しているとの指摘も出ています。
ハンファは、フィラデルフィア造船所で商船と軍艦を同時に建造する方式をとることで、軍艦建造に必要な技術や人材を安定的に維持できると説明しています。
また、アメリカの造船所ではアメリカ海軍向けの潜水艦を建造し、韓国では系列会社ハンファオーシャンの造船所で韓国海軍向けの潜水艦を建造するという役割分担の構想も念頭に置いていると明らかにしました。