韓国政府内で、韓国とアメリカの間で対北韓政策を調整する協議の進め方をめぐって、外交部と統一部の間で立場の違いが表面化しています。
今回の対立は、外交部が今月、韓米首脳会談の共同説明資料「ファクトシート」のその後の対応を協議するとして、対北韓政策全般を議題とする協議体の発足を予告したことが発端となりました。
これに対し、これまで外交部とは別に対北韓政策を担当してきた統一部は、協議の性格によっては過去に南北交流の制約要因と指摘された「韓米ワーキンググループ」の再来になりかねないとして慎重な立場を示し、協議体への参加を見送りました。
こうした中、外交部主導で16日、関連協議が行われました。
外交部は17日、16日の協議について、韓半島を取り巻く地政学的環境に対する評価や認識を共有することが目的だとしたうえで、過去に運用されてきた「韓米ワーキンググループ」とは、趣旨や性格が異なると強調しました。
外交部はまた、今回の協議は対北韓制裁の履行を管理するための枠組みではなく、韓米間の意思疎通を強化し、南北対話の環境を整えるための議論だと説明しました。
一方、統一部は、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に運営されていた「韓米ワーキンググループ」が、南北協力事業を進める過程でアメリカとの事前協議を事実上、義務づけ、韓国政府の対北韓政策の自律性を制限していたとの認識が、現在も残っているとみています。
そのうえで、このような構造が繰り返されれば、北韓が南北対話に応じる動機が弱まるおそれがあるとの懸念も示しています。
こうした議論は政界にも広がっていて、対北韓政策において統一部と外交部のどちらが主導的な役割を担うべきかをめぐって、与野党の内部でも意見が分かれています。