国連軍司令部は17日、声明を発表し、軍事境界線の南側にある非武装地帯(DMZ)への立ち入りを管理する権限は、停戦協定にもとづき国連軍司令部にあると明らかにしました。
これは、非軍事的で平和的な目的に限って、DMZへの立ち入りを韓国政府が承認できるようにする、いわゆる「非武装地帯の平和的利用に関する法律」の制定が政界で進められていることに対し、国連軍司令部が公式に反対の立場を示したものです。
非武装地帯は、1953年の停戦協定にもとづいて設置された緩衝地帯で、平和条約が締結されていないため、現在も停戦体制のもとで管理されています。
国連軍司令部は、17日にホームページで公開した声明の中で、「軍事境界線の南側のDMZ区域における民事行政や救済事業は、国連軍司令官の責任である」と明記しました。
また、停戦協定第1条第9項を引用し、軍事停戦委員会の特定の許可を受けた者を除き、軍人か民間人かを問わず、DMZへの立ち入りは認められていないとしています。
そのうえで、DMZ内での移動が挑発と受け取られたり、人員や訪問者の安全を脅かしたりしないよう、立ち入りの要請を厳格に審査したうえで、承認か不承認かを決定していると説明しました。
そして、「恒久的な平和条約の締結を期待しつつ、停戦と韓半島の安定を維持するための努力を続けていく」と付け加えています。
国連軍司令部が、特定の懸案をめぐって公式声明まで発表し、立場を明確にするのは異例と受け止められています。
一方、与党「共に民主党」の議員らは、平和や観光、環境調査などの非軍事的目的に限って、DMZへの立ち入りを韓国政府が承認できるようにする法案を提出しています。
民主党は、停戦協定が「純粋に軍事的性質のもの」と定められている以上、民間の平和的な活動まで制限するのは過度だと主張しています。
統一部も、立法の趣旨に賛同するとして賛成の意向を示していますが、国防や外交当局からは、国連軍司令部との事前協議が必要だとして、慎重な対応を求める声も出ています。