首都圏に居住している場合、ほかの地域に比べて結婚や出産の割合が低いことが、統計データから明らかになりました。
国家データ庁は16日、複数の行政資料をもとに、結婚と出産の推移を追跡した「2015年から2023年の人口動態パネル統計」を公開しました。
調査対象となったのは、婚姻率が最も高い年齢層である32歳の男性と31歳の女性です。この年齢の男女について、2015年と2023年を比較したところ、わずか8年で婚姻率はおよそ60%、出産率はそれを下回る半分以下に落ち込んだことがわかりました。
特に、居住地域別にみると、首都圏の婚姻率と出産率が低い傾向が顕著となっています。2023年時点で、首都圏に住む32歳の男性の未婚率は58%、31歳の女性は47%と全国で最も高く、出産率も最も低い水準となりました。背景には、高い住宅価格などがあるとみられています。
住宅の所有状況による差も大きく、2020年時点で32歳の男性を基準にみると、持ち家がある人の未婚率は34%にとどまったのに対し、住宅を所有していない人では62%に上りました。
また、職業も影響していました。雇用形態別に出産率の推移を調べたところ、男性では正規雇用労働者が3年後に子どもを持つ割合が、そうでない人に比べて8ポイント以上高く、女性でも5ポイント以上高いことが確認されました。
国家データ庁は、「同じ世代であっても、住宅の所有状況や居住地域などが婚姻と出産に影響を与えるという従来の認識が、数字で裏付けられた」としたうえで、「今回のデータが、実効性の高い少子高齢化政策の立案に貢献できることを期待する」としています。